『おく』とは向かい合う人が交互にものを置くことで作品を作る実践です。

“2人以上の人が交互にものを置く”というシンプルなルールでインスタレーションのような空間を作る、パフォーマンス、ワークショップ形式の実践。本作を構成する主な要素である「プレイヤー」「もの」「場所」の3つはいずれも入れ替え可能であり、どんな人、どんなもの、どんな場所でも成立する。作品を作る行為に制限を設けることで、意図の不確かなコミュニケーションゲームとしての側面を持つ。実践を通して「もの」の日常的な役割とプレイヤーの解釈によるその場限りの価値が入り混じり、「もの」に重層的な意味が与えられていく。 この単純なルールは日常的な「もの」を作品化するシステムだと言えるだろう。その時現れるのは、既存の作品という概念への問いかけであり「ものを解釈する方法に正解はない」という状況だ。 こうした状況は「誰がどのようにものの価値を決めているのか」という社会的な疑問を投げかける。価値基準の再構築 が迫られる状況を作ることで、私たちが抱えるお互いの価値観の違いや理解し合えなさを受け入れるきっかけとなることを期待する。

【基本ルール】
・礼をして、ジャンケンで先手を決める。
・自分の手番のプレイヤーは場に1つ「もの」を置く。
・置き終えたらカウントを1つ下げて、手番は相手に移る。
・これを繰り返して、カウントが「0」になるまで続ける。
・全てのプレイヤーのカウントが「0」になったら、礼をして終える。
 ・それまでの手番で置かれた「もの」を故意に動かしてはいけない。
 ・声や表情、身振りで意図を伝えようとしてはいけない。
 ・集められた「もの」は実践後に全て持ち主に返却する。